日本人の約10000分の1が共鳴――即ち異能を持つ世界にて。
共鳴の保有者である共鳴者は、その存在が公に明かされることのない様、特務庁という公的機関によって秘密裏に保護、管理されていた。
研究局や支援局等、様々な部署が存在する特務庁だが、その中でも共鳴絡みの重要な事件事故へ対処を行う特別任務執行課は、所謂組織の花形であった。
XX27年、春。
執行課の選抜試験に落選した図地藤華は、特異事象対策課の新人として初任地である古海市へと赴任する。
表の身分を担保するため古海高校へと転入した図地藤華は、とある事件を切っ掛けに、言葉による現実改変能力、『言霊』の共鳴を宿す言葉めぐりと行動を共にすることとなり――。
“出会い”以降、市内で急増する特異事象の数々。
解決のため奔走した結末にて、巡り合う犯人達は口を揃えてこう言った。
「白髪桃瞳の美しい少女が小瓶をくれた」
「己はその中身を飲み、異能力者になったのだ」と。
小瓶、即ち促進剤を街にばら撒く犯人。
風貌、言動、振舞いから、誰かの影を感じる少女。
亡霊、反魂、生まれ変わり。はたまた、ただの
いずれにせよ、確かめなければならなかった。
この物語が足ろうが足るまいが、あの人との約束を反故にするだなんて、僕にできうる筈もないのだから。
睦月潮
半田朔
その他人物については神奈川県立古海高等学校を参照のこと。