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言葉神社は、神奈川県古海市西古海にある神社。
市内西部、和梅山に位置し、里宮は東麓に東面して鎮座する。
奥宮にあたる祠は山頂に置かれており、一応言葉神社境内から登山道が整備されているものの、勾配がきつく、年に幾度かの山の手入れ以外に人の入りがないので鬱蒼としていて足場も悪い。
一言主大神
古くから山とともに暮らしていた近隣の村の民が、酷い不作に見舞われた年の秋の暮れ、山中にて一人の幼い娘が倒れているのを見つける。
哀れに思った村人たちが娘を拾い介抱すると、娘はたちまち元気になったが、目を覚ますより以前の事は何も覚えていないということだった。
村人たちはゆく宛のない娘を村の一員として迎え入れ、娘は村人として働くようになった。
そうなってすぐにわかったのだが、娘には実は口にした願いを一言にして叶える力があった。
娘はその力を用いて村人たちを豊かにし、村人たちは娘を山におわす神の子、あるいは遣いであるとして丁寧に祀り上げ、山そのものと娘を祀るための社を立てた。
これが、言葉神社の起こりである。
ある夜、娘の育ての親がふと目覚めると寝床に娘の姿がなかった。
痕跡を辿ると娘は社の前で清幽な気配を纏い佇んでおり、声をかけると厳かな男性の声で「私は一言主大神である。この地に住まう人々を救うため、この娘に力を与え、皆の願いを叶えていた。災いの去った今、娘は只人に戻るだろうが、私はいつもこの地を見守り、この地の民を助けよう」と語った。
以降、娘が力を使うことはできなくなったが、娘と村人は、葛城一言主神社より
言葉神社の信仰は、ごく狭い範囲でうまれた土着の信仰が巡り巡って神道の神と結びついたものであるため、神社本庁に属さない単立神社である。
よって、拝殿のつくりや大まかな作法、祭事の一部は神道と重なるものの、本質的に神道のお社なのかというと若干微妙なところがある。
また、宮司は伝説に登場する娘の家系(言葉家)の長女が努める決まりとなっており、建立当初から女性宮司が認められていた非常に珍しい神社である。