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あらすじ

――インターネットを介し繋がっていた親友が、「ありがとう」と一言残して音信不通になった。

彼女の生活環境や精神状態があまりよくないのは知っていたから、恐らく自殺するのだろうと思った。
せめてきちんとお別れが言いたくて、何度もメッセージを送ったし通話も数回鳴らしたけど、彼女が応じることはなかった。

悲しかったし、寂しかったけど、わたしが彼女にしてあげられることはしてきた自覚があったから、やりきれない思いはなかった。
ただ、「もし死後の世界があるのなら、どうか安らかに」と祈るばかりだった。


それから3日程経ったある日、SNSのアカウントにフォロー通知が届いた。
見知らぬアカウントだったのでプロフィールに飛ぶと、女子高生が実名で運用する、所謂リア垢に当たるアカウントだった。
最新のものから順番に投稿内容を確認していく。
投稿頻度は日に2つ3つで高くないものの、ざっと遡って記録を総合すると、投稿者の家庭環境や構成要素は朧げに把握できる。
それらの情報に加え、写真に写る風景や、自宅の壁紙、床板、家具等が完全に一致したことから、このアカウントの持ち主は「彼女の妹」であると断定された。

こちらからもフォローを返すと、すぐにDMが届いた。

「はじめまして。鴫原花柚と申します。
 突然ですが、数日前、姉である鴫原柚子(みしゅさんの相互フォロワーである幽雅)が行方不明になりました。
 みしゅさんは行き先をご存じないでしょうか?」

行方不明?
ゆうちゃんが、あの状態から死ぬことはあっても、行方不明になったりするだろうか?

花柚さんから話を聞くに、姉が幽雅というアカウントを使っていることは知っていて、現在地について何かつぶやいている可能性があると思ってはいたものの、幽雅は鍵アカウント、かつフォローはしていなかったので中身が見えず困っていたらしい。

3日前、「ありがとう」というメッセージが届いて以降音信不通であり、それと時を同じくしてSNSの更新も止まっている旨を伝えると、花柚さんはリアル側のゆうちゃんの身辺について話してくれた。

黒いローブの裾をはためかせ、少年は夜色の瞳をぎらぎらと輝かせていた。

「土は土に、灰は灰に、塵は塵に。  キミも、奪い返しに来たンダロ?  大切な誰かの、とこしえのモノとなるハズだった安寧ヲーー」

舞台

登場人物

主人公